売上を上げるための営業戦略とはどんなものなんだろう…。
市場シェア拡大を目指しているけど、どのように営業戦略を立てたらよいかわからない…。
営業活動の幅を拡大したり、新規事業を始めたりしたタイミングなどに、営業戦略を立てようと考える経営者や営業マンは多いでしょう。
しかし、実際に成果につながる営業戦略の立案は簡単なものではありません。
そこで今回は、営業戦略の立て方や注意すべきポイント、そのほか営業戦略を立てる上で役立つ情報について詳しく解説します。
成果につながる営業戦略立案のコツは、以下の2つです。
本記事のサマリ(概要)
- 具体的な目標を設定したうえで、担当者や行動を細かく決定する
- 成功だけでなく失敗にも目を向けてブラッシュアップする
営業戦略に必要となるのは、可能な限り具体的な「目標」と「分析結果」です。
そのため、上記2つのポイントが重要となるのです。
この記事を読めば、こんなことが実現できます
- 営業戦略の立て方の手順を確認できるため、「何から手を付けたらよいのかわからない」と迷うことがなくなります。
- 効果的な営業戦略を立てるコツがわかり、具体的な営業戦略の立案につなげやすくなります。
- フレームワークを活用してスムーズに営業戦略を立てることができるようになる。
本記事の信頼性(誰が書いてるの?実績あるの?)
- 営業歴は12年以上。BtoB営業が得意。
- 元リクルートのTOP営業(個人表彰・マネジメント表彰、多数)
- 現場型の経営・営業コンサルティング会社を経営中
- 中小・ベンチャー企業の営業支援と成果出しの実績も多数
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そんな私が書いたこの記事を読むことで、営業戦略のコツがわかるようになり、営業成果につながりやすくなりますよ。
参考記事>>>【決定版】営業に求められる10のスキルと習得方法を解説
営業戦略の立て方4つの手順
実際に営業戦略の立て方を確認していきましょう。
営業戦略は以下の手順で立案します。
- 環境分析をする
- 競合分析をする
- 顧客分析をする
- 現状の問題を把握する
それぞれ、丁寧に解説をしていきますね。
参考記事>>>【営業分析の基本的な手法や精度を高める5つのポイント】
1. 環境分析をする
環境分析とは、景気の動向や市場環境といった企業を取り巻く環境を分析することです。
環境分析をすることで自社の強み・弱みが明確になり、チャンスを得たり不測の事態に備えたりすることができるのです。
環境分析をする場合は、企業を取り巻く環境のうち、最も影響力の大きいマクロ環境について「マクロ環境分析」を実施しましょう。
マクロ環境がどのように変化しているかを分析することで、適切なマーケティング戦略が立てられるようになります。
2. 競合分析をする
競合分析とは、競合するライバル企業を分析することです。
競合分析をすることで、ライバル企業を上回る商品・サービスをどのように提供したらよいかという成功要因を導き出すことができます。
競合分析をする場合は、
- 「顧客・市場」
- 「競合企業」
- 「自社」
の3つの観点から分析する「3C分析」を用いましょう。
そうすることで、ライバル企業の実態をさまざまな観点から分析できるだけでなく、自社の戦略を立てることにも役立ちます。
3. 顧客分析をする
顧客分析とは、自社の商品・サービスを購入した顧客の購買行動や属性を分析することです。
顧客分析をすることで、商品・サービスの購買率を上げたり顧客満足度を上げたりする効果があります。
顧客分析をする場合は、「直近購入日」「購入頻度」「購入金額」という3つの指標を使って顧客をグループ分けするRFM分析や、売上貢献度の高い順番に顧客を10のグループに分類し、各グループの特徴を洗い出す「デシル分析」などの手法が用いられます。
4. 現状の問題を把握する
ここまでの分析で明らかになった問題点を把握しましょう。
たとえば、外部環境の分析からは「今後自社が置かれる環境はどうなるか」「ライバル企業はどのような動きをするか」といったことが分析でき、現状抱えている問題点が明らかになります。
また、競合分析や顧客分析からは「競合他社よりも価格が高い」「顧客が欲しているものを提供できていない」といった問題点が把握できるでしょう。
成果を上げる営業戦略のポイント
次に、成果を上げるための営業戦略のポイントについてお伝えします。
そのためには、以下の3つのポイントが重要になります。
- 営業戦略を立案するために何をするのか明確にする
- 目標達成のために誰がどのように行動するか明確にする
- 成功要因と失敗要因を分析する
1. 営業戦略を立案するために何をするのか明確にする
せっかく営業戦略を立てても、具体的に何をするのかが明確にならないと、中長期的な視点で自社がどんな成長ができるのか、どうやってライバル企業と渡り合うのかが予測できません。
そのため、営業戦略を立案する先に、
- 「売上を伸ばしたいのか?」
- 「リピーターを増やしたいのか?」
- 「顧客の数を増やしたいのか?」
といった目標を定め、そのために何をするのかを明確にすることが重要です。
2. 目標達成のために誰がどのように行動するか明確にする
営業戦略を定めたら、その目標を達成するために、誰がどのように行動するのかを明確に決める必要があります。
せっかく目標を設定しても、そのために誰が何をやるかが曖昧だと責任の所在が不明になり、計画の進行に遅れが生じてしまう可能性が高くなります。
そのため、誰が何をどのようにやるかまで明確に決めることが重要です。
3. 成功要因と失敗要因を分析する
誰が何をするのかを明確に決めて計画を進めてみると、思い通りの成果が出ることもあれば、思い描いていた通りの成果が出ない場合もあります。
営業戦略に則って計画を実行したら、その結果を元に成功要因や失敗要因を分析するようにしましょう。
成功要因を分析することで、今後営業戦略を打ち出す際により良い施策を立案するヒントになります。
また失敗要因を分析することで、次回の施策の成功率を上げるための改善点が見つかるでしょう。
営業戦略と営業戦術の違いとは
ここで、何かと間違いやすい「営業戦略」と「営業戦術」の違いについても押さえておきましょう。
営業戦略とは
営業戦略は、収益目標の達成や事業エリアの拡大といった目標を達成するために、「誰に何をどのように売るか」といった営業活動の計画を立てることを指します。
つまり、営業目標の達成に向けて、大局的に・長期的に何をすべきかを考えることが営業戦略になります。
もっと分かりやすい言い方をすると、「(超重要)目標を達成するために、何を捨てるのか?」を決めること、です。
営業戦術とは
営業戦術とは、営業戦略を実現するために具体的に何をしたらよいかという手法や手段を指します。
つまり例えば、
- 実際にどんなツールを導入するか
- 誰が運用するか
- どのようにデータを分析するか
といった個別の施策に関わる計画を立てることで、営業戦略よりも局面的といえるでしょう。
営業戦術は営業戦略の上に成り立っています。
そのため、きちんとした営業戦略を立てないと、いくら営業戦術(それぞれの施策)に粉骨砕身しても、十分な成果が得られない可能性がありますので注意してください。
営業戦略に使えるフレームワーク
フレームワークとは、営業戦略を分析する上での枠組みのことです。
フレームワークを取り入れることは、以下のメリットがあります。
- 営業戦略を効率的に立案できる
- 営業戦略の失敗を見直しやすい
- 説得力のある営業戦略を提案することができる
そこでこの項目では、実際に営業戦略の現場で活用されることの多いフレームワークについて解説していきます。
1. PEST分析
PEST分析は、
- 「政治的要因(Politics)」
- 「経済的要因(Economics)」
- 「社会的要因(Society)」
- 「技術的要因(Technology)」
の頭文字を取って名付けられた分析方法です。
これら4つの視点から外部環境を大局的に分析することで、市場の動向を把握して自社がビジネスを展開するうえでのチャンスや脅威を発見することが可能になります。
2. 3C分析
3C分析は、
- 「Company(自社)」
- 「Customer(顧客)」
- 「Competitor(競合)」
の頭文字を取って名付けられた分析方法です。
3C分析では、これら3つの関係性を元にして、会社の現状を分析することができます。
それぞれの項目で、具体的に何を分析するのか見ていきましょう。
自社(Company)
商品・サービスの売り上げや市場シェア、ブランドイメージ、技術力、品質など、自社がライバル企業に負けない強みが何なのかを分析します。また強みだけでなく、弱みも同時に洗い出します。
顧客(Customer)
顧客の性別、年齢、ニーズといった情報を分析し、自社がターゲットとすべき層を明確化します。
競合(Competitor(競合))
競合他社の寡占度、市場評価、強み・弱み、商品・サービスの特徴・マーケティング戦略、参入難易度などを確認し、自社との違いを分析します。
3C分析は、新商品のマーケティング戦略や新規事業の方向性を決める場合など、営業戦略の大枠を決める段階で活用することができます。
3. SWOT分析
SWOT分析は、
- 「Strength(強み)」
- 「Weakness(弱み)」
- 「Opportunity(機会)」
- 「Threat(脅威)」
の頭文字を取って名付けられた分析方法です。
SWOT分析を活用することで、内部環境(自社の強み・弱み)と外部環境(競合他社の動向や市場のトレンド)の関係性を分析することができます。
それによって、客観的な視点で自社の立ち位置を把握することができるため、効果的な営業戦略を立てやすくなるというメリットがあります。
なお、分析の際は自社の強み・弱みのみに注目するのではなく、クロス分析をして分析結果が偏らないように注意しましょう。
SWOT分析は、自社の課題や市場における状況を把握し、詳細な営業戦略を立てるために活用することができます。
4. 4P分析
4P分析は、
- 「Product(製品)」
- 「Price(価格)」
- 「Place(流通)」
- 「Promotion(プロモーション)」
の頭文字を取って名付けられた分析方法です。
4P分析を活用し、これら4つを競合他社と比較することで、競合他社に対する自社の強みや弱みが明確になり、どんな商品をいくらでどのように売ればよいのかを分析することができます。
それぞれの項目で、具体的に何を分析するのか見ていきましょう。
製品
顧客のニーズに合った商品・サービスがどういったものかを分析します。
価格
ターゲットとなる顧客にとって適正な商品・サービスの価格を分析します。
流通
商品・サービスをどのような経路でどこに売り出すのかを分析します。
プロモーション
ターゲットとなる顧客にとって最適なプロモーション(販売促進)の方法を分析します。
4P分析を活用することで、自社の商品・サービスを顧客に提供するメリットや、市場における自社の商品・サービスの価格の妥当性を客観的に理解することができ、商品・サービスの営業戦略の具体化に役立ちます。
5.4C分析
4C分析は、
- 「Customer Value(顧客にとっての価値)」
- 「Cost(顧客にとってのコスト)」
- 「Convenience(顧客にとっての利便性)」
- 「Communication(顧客とのコミュニケーション)」
の頭文字を取って名付けられた分析方法です。
営業戦略を考えるとなると、どうしても企業側の目線で物事を決めてしまうことが多くなります。
そこで4C分析を活用することで、顧客に主体を置いた営業戦略を立案することができるようになります。
6.バリューチェーン分析
バリューチェーンとは、自社の商品・サービスが顧客に届くまでに企業が行うプロセスを、価値の連鎖(バリューチェーン)として捉えたものです。
バリューチェーン分析をすることで、
- 「どのプロセスで多くの付加価値が生まれているか」
- 「どのプロセスに多くのコストがかかっているか」
- 「競合他社に比べてどのプロセスが優れているか」
を把握することができます。
それによって、自社の強み・弱みが可視化されるほか、どうやったらコスト削減できるかといった改善点についても明確化することができます。
営業戦略の成功事例紹介
最後に、実際に営業戦略を立案する上でのヒントとして、営業戦略の成功事例をご紹介します。
ヨドバシカメラ
近年、Amazonや楽天といった大手ECサイトの台頭によって実店舗を持つ小売業の多くは営業不振に陥っています。
そんななか、家電量販店チェーンストアであるヨドバシカメラは、自社のECサイトである「ヨドバシ.com」と実店舗の価格を統一化するなどのコラボレーションを連携させる営業戦略を展開し、売上増を実現しています。
スターバックス
コーヒーチェーンのスターバックスは、同じくコーヒーチェーンであるドトールなどに比べると価格は割高です。
しかしスターバックスは、店内を自宅でも職場でもない第三の場所として提供するという営業戦略を打ち出しています。
つまり、ドトールは職場の延長としてビジネスマンが急いで食事をする際に使われることが多いのに対し、スターバックスは時間に余裕がある顧客をターゲットにしており、ドトールとの差別化に成功しています。
手順をよく理解し成果を上げる営業戦略を立てよう
本記事では営業戦略の立て方や注意すべきポイント、そのほか営業戦略を立てる上で役立つ情報について解説しました。
営業戦略を効率的に計画するためには、フレームワークを活用したり、成功事例を参考にしたりすることも大切です。
ぜひ今回紹介したポイントを参考に、会社の目標達成につながる営業戦略を立ててください。