会社の売上を上げるために業界の動向を分析したい。何から手を付ければよいのか…?
営業分析ツールを導入することにしたけど、選び方がわからない…
経営者や営業マンのなかには、営業分析についてこんな悩みを持つ方もいるでしょう。
営業分析にはさまざまな手法があり、それぞれに正しい手順やコツがあります。
近年は営業分析に役立つ便利なツールもリリースされていますので、上手に活用して営業成績の向上を目指したいものです。
そこで今回は、営業分析の基本的な手法や手順、分析の精度を高めるコツ、営業分析ツール選びのポイントについて解説します。
スムーズに営業分析を進めるためには、下記3つのポイントが重要です。
本記事のサマリ(概要)
- 分析対象を明確にしたうえで細かく調べ、結果を掘り下げる
- KPI分析やエリア分析などを活用し、分析の精度を高める
- 自社に合った営業分析ツールを導入して多角的に分析する
営業分析は取り扱うデータ・情報自体がかなり膨大になるため、作業の効率化が求められます。
そのため、上記3つのポイントが重要となるのです。
この記事を読めば、こんなことが実現できます。
- 具体的な分析の手法について理解でき、自社の戦略に合った分析方法を選択できるようになります。
- 営業分析の手順がわかり、必要となる資料などがスムーズに作成できるようになります。
- 自社に合ったツールの選び方がわかるため、「どんな風に比較したらよいかわからない」と悩むことがなくなります。
本記事の信頼性(誰が書いてるの?実績あるの?)
- 営業歴は12年以上。BtoB営業が得意。
- 元リクルートのTOP営業(個人表彰・マネジメント表彰、多数)
- 現場型の経営・営業コンサルティング会社を経営中
- 中小・ベンチャー企業の営業支援と成果出しの実績も多数
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そんな私が書いたこの記事を読むことで、営業分析のコツがわかるようになり、営業成果につながりやすくなりますよ。
参考記事>>>【決定版】営業に求められる10のスキルと習得方法を解説
営業分析の基本的な手法
営業分析の基本的な手法は、大きく分けて下記の3つが存在します。
- 動向分析
- 要因分析
- 検証分析
それぞれ特徴が異なりますので、内容をよく理解してから、どの分析方法を選択するか検討しましょう。
1. 動向分析
動向分析とは、業界や商品、サービスなどの大まかな動きを判断する際に用いる分析方法です。
たとえば、業界全体で売上を伸ばしている商品の販売動向や、とくに売れている時期、販売価格、月間の売上額などを数値化し、グラフなどで表して分析します。
業界全体の流れや大局をチェックし、今後の営業の方向性を決めるときに用いられる手法です。
あくまで大まかな動向を分析するだけなので、より詳細な分析を行うためには、他の手法と併用する必要があります。
2. 要因分析
要因分析とは、ある動向に影響を与えている要因を分析するための手法です。
たとえば、特定の商品が急激に売上を伸ばした場合、要因分析を行えば、「なぜ急激に売上が伸びたのか」「どんなきっかけがあったのか」を探ることができます。
動向の要因が明確になれば、その結果を活かして、さらなる売上アップを目指したり、逆に課題を洗い出して業績の改善につなげたりすることができます。
要因分析を行うには、対象となる動向を設定する必要があるので、動向分析→要因分析の流れで用いられるのが一般的です。
3. 検証分析
動向分析と要因分析の結果に基づいて立てた仮説を分析し、その正確さを確認するために行われる手法です。
仮説の正しさを検証するには、実践・反証・証明を繰り返し、さまざまな角度から分析を行う必要があります。
単純にデータを分析するだけでなく、状況に応じて適切なアイデアを出したり、さまざまな方向からアプローチを行ったりする柔軟性が求められます。
検証分析によって仮説の正しさが立証されれば、営業方針や営業手法を立てるときの判断材料として役立てることができます。
逆に、検証分析によって仮説に問題が見つかった場合は、動向・要因分析に戻って、新たな仮説を模索するところからスタートしなければなりません。
営業分析の手順
ここまで営業分析の基本的な手法を紹介してきましたが、具体的にどのような手順で分析を行っていくのでしょうか。
以下では、営業分析の基本的な手順について解説します。
1. 分析の対象を明確化する
営業分析を始めるときは、まず分析の対象を明確にするのがポイントです。
対象を決めるときのコツは、現在企業が抱えている課題や問題をもとに考えること。
たとえば、営業マンの営業活動に一貫性がないと感じているのなら営業行動を、会社全体の売上についてしっかり把握できていないことを問題視しているのなら営業成績を分析対象にすれば、課題の解決に必要なデータや仮説を求めることができます。
2. 分析対象を詳細に調べる
分析対象が決まったら、その動向について詳細に調査していきます。
調査を行ううえで、推測や憶測は必要なく、事実に基づいたデータを丁寧に収集することが大切です。
この時点で主観が入ってしまうと、事実と異なるデータが混ざり込んでしまい、正確な分析結果を出せなくなってしまいます。
売上や業績など、もともと数値化されているデータなら比較的楽に集めることができますが、営業マンの行動やスキルなど、数値化しにくい情報については、いかに客観的かつ事実に近いデータを集められるかが焦点になります。
こちらは表面的な情報だけでなく、営業マンに対してヒアリングを行い、できるだけ事実に則したデータを集めることを心がけましょう。
3. 分析結果の掘り下げを行う
分析の結果、仮説が正しいことが立証された場合は、「将来的に通用する手法かどうか」「より高い効果を生み出すためにはどうすればよいか」など、さらに一歩踏み出した分析や検証を行っていく必要があります。
逆に、仮説に誤りが見つかった場合は、「何が問題だったのか」「改善して立て直すことは可能か」などについて掘り下げを行い、次の仮説を生み出すときの糧にしましょう。
営業において分析が重要な理由
営業分析を行うには、それなりの手間と時間、コストがかかりますが、それを補ってあまりあるメリットを得ることができます。
ここでは、営業において分析が重要とされる理由を2つのポイントに分けて解説します。
1. 営業活動の属人化を防げる
従来の営業では、個々の営業マンが自身のスキルや経験、コネクションなどを活かし、自らの裁量で活動を行う方法が主流でした。
そのため、担当の営業マンが休暇を取得または異動・退職した場合、業務の詳細や進め方がわからず、対応できなくなるおそれがあります。
これを営業の属人化といい、機会損失につながるのはもちろん、営業マンのもつスキルやコネクションが共有されず、他の営業マンが育たないといった問題を抱える原因となっています。
営業分析を実施すれば、事実に基づくデータや、そこから生まれた仮説の検証により、どのような手法で営業を行うべきか、現在の営業活動にはどんな問題点があるのか可視化できるようになります。
ベテラン営業マンの勘や経験といった概念的なものに頼るのではなく、分析に基づいた営業プロセスを営業マン全員で共有すれば、企業全体の営業力を底上げすることができます。
2. 顧客ニーズにすばやく対応できる
営業成績を伸ばすためには、顧客のニーズを敏感に察知し、適切なタイミングで商品やサービスを売り込む必要があります。
営業分析で最近の動向やその要因を分析すれば、業界全体でどのようなニーズが増えているのか、ブームを作ったきっかけは何かといった情報をいち早く把握することができます。
動向と要因をもとに立てた仮説の正しさが立証されれば、顧客に対してより効果的なアプローチを行うことが可能になり、新規顧客の獲得およびリピーターの増加を実現できます。
営業分析の精度を高める5つのポイント
基本となる営業分析は、他の手法と併用することで分析の精度を高めることができます。
ここでは、営業分析の精度を高めるためのポイントを5つご紹介します。
1. KPI分析を行う
KPIとはKey Performance Indicatorの略で、日本語では「重要業績評価指標」を意味します。
特定の目標に対する達成度を示す指標のひとつで、営業活動では主に売上高や新規顧客の獲得数などをKPIに設定し、目標を達成するために必要な契約数や売上の指標にします。
KPI分析は、目標を達成するまでの経過や、その要因を分析し、今後どのような行動を取るべきか、現在設定しているKPIが妥当かどうかを判断するときに役立ちます。
基本の営業分析は、一つひとつの項目に対して詳細に分析することができませんが、KPI分析は設定したKPIごとに詳細な分析を行うため、より制度の高い分析結果を得ることができます。
参考記事>>>【完全版】KPI・KGIとは?「意味」や「設定方法」を詳しく解説
2. エリア分析を行う
エリア分析とは、商品やサービスのターゲットが、どのエリアにどれだけ住んでいるのかを分析する手法です。
別名「エリアマーケティング」といい、人口統計や年齢・世代構成などから、どのエリアに重点的にアプローチをかけるべきかを検討します。
エリア分析によって営業をかける地域を絞り込めば、やみくもに営業をかけるよりも業務効率がぐんとアップします。
もちろん、実際に営業をかけた時の内容も分析することが大切で、分析結果によってはエリア設定を見直し、次回以降の営業活動に反映させます。
3. 行動分析を行う
行動分析とは、一人ひとりの営業マンの行動を把握し、そのスキルや傾向を分析する手法です。
営業マンと一言にいっても、人によって保有するスキルやノウハウ、経験は大きく異なり、順調に業績を上げる営業マンもいれば、なかなか成果が出ない営業マンもいます。
個々の営業マンの行動と業績を紐付けて分析すれば、どのような行動が成功につながるのか、業績が上がらない営業マンには何が足りないのかが明確になります。
分析結果をもとに、優れた営業ノウハウを蓄積し、営業マン全員で共有すれば、個人間の差が縮まり、営業全体の業績・売上をアップさせることができます。
4. ABC分析を行う
ABC分析とは、複数の指標をもとに、在庫や顧客、案件などに重要度や優先順位をつける手法のことです。
たとえば営業なら、売上や発注数をもとに、在庫を「よく売れる商品」「まあまあ売れる商品」「ほとんど売れない商品」の3つにグループ分けすることができます。
そのうえで、よく売れる商品の受注数をさらに伸ばすにはどうすればよいか、ほとんど売れない商品の売上数を伸ばすためにはどんな施策が必要なのか、詳細な分析を行っていきます。
同じ「自社の在庫」でも、その商品の特徴や傾向によって取るべき施策に差が出ますので、それぞれの商品に合わせてベストな営業を行えるところが大きな特徴です。
5. クラスター分析を行う
クラスター分析とは、異なる性質のものが混ざり合っている集団の中から、類似した性質をもつものを集めて分類する手法のことです。
類似した性質を持つもの同士をグループ分けしたうえで、それぞれの動向や要因、検証を行っていけば、より効率的な営業戦略を立てることができます。
営業分析ツールの選定ポイント
営業分析には膨大な量のデータや情報を使用するため、手作業で集計・分析するのは現実的ではありません。
そのため、現在は便利なツールを用いて営業分析を行うのが主流となっています。
なお、営業分析を専門としたツールは少なく、多くの場合はSFA(営業支援システム)ツールを営業分析に活用しています。
SFAは名前の通り、営業活動を支援することに特化したシステムで、顧客管理や案件管理、行動管理、予実管理、レポート管理などの機能が搭載されています。
これらの機能を駆使して収集・管理したデータをもとに、さまざまな視点から営業分析を行うことが可能となっています。
SFAは複数のベンダーからリリースされており、それぞれ特徴や機能、性能に違いがありますので、営業分析に活用する場合は、自社に合ったツールを選ぶことが大切です。
ここでは、失敗しない営業分析ツールの選び方のポイントを4つ紹介します。
参考記事>>>CRMとSFAの違いとは?それぞれの導入メリットを紹介
1. 初心者でもスムーズに使いこなせるか
営業分析ツールを初めて導入する場合、いかにスムーズに現場に普及させるかがポイントになります。
何を重視するかは企業によって異なりますが、視認性の高い画面や、使いやすいインターフェースなどを中心にツールを選ぶと、余計な混乱を招かずに済みます。
ツールの使い勝手は実際に使用してみないとわからないので、無料デモなどを利用して使い心地を試してから導入を検討することをおすすめします。
2. 必要な分析機能を備えているか
同じSFAでも、分析機能の種類はツールごとに異なります。
分析機能の種類が多いことに越したことはありませんが、多機能なツールはコストも割高になりやすい傾向にあります。
なるべくコストを抑えて導入したい場合は、自社にとって必要な分析機能が搭載されているかどうか、事前にチェックしておきましょう。
3. マルチデバイスに対応しているか
外回りの多い営業マンにとって、出先からでもツールを使えるかどうかは重要な選定ポイントになります。
パソコンだけでなく、タブレットやスマホなどマルチデバイスに対応している営業分析ツールを選べば、出先からでもすぐデータを入力・閲覧することが可能です。
マルチデバイス対応のツールを選ぶ際は、どのOSに対応しているか、どの程度のスペックを推奨しているかも確認しておきましょう。
4. 他のシステムとの連携に対応しているか
SFA単体でも営業分析を行うことが可能ですが、「営業活動をより効率化させたい」「見込み客の獲得につなげたい」などのニーズに対応するためには、顧客管理に特化したCRMや、営業活動の一部を自動化してくれるMAなどのシステムとの併用が不可欠になります。
すでにCRMやMAなどのツールを利用している場合はもちろん、将来的に導入や拡張を検討する可能性があるのなら、他システムと容易に連携できる営業分析ツールを選びましょう。
営業分析ツールを活用して、営業効率アップや営業力の向上を目指そう
営業活動を効率化するためには、基本的な営業分析、すなわち、
- 「動向分析」
- 「要因分析」
- 「検証分析」
を実施し、今後の営業方針や戦略に役立つ情報・データを獲得しなければなりません。
さらに、KPI分析やエリア分析、行動分析などの手法を併用することで、より深く、精度の高い分析を行うことが可能になります。
SFAツールを利用すれば、簡単かつ短時間で営業分析を行えますので、ツールごとの特徴や機能をチェックしたうえで、自社に合ったものを選ぶようにしましょう。